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8/26 東日本大震災復興支援『熊本・関東・東北福祉従事者交流会in気仙沼』~元気仙沼市危機管理担当職員による視察と懇談~

今回は、熊本地震発生に伴い、当法人でお手伝いをさせていただいた、熊本県の福祉系の法人2か所から、はるばる役職員が東北の被災地域に足を運び、3.11発生時の状況について実際の被災現場を見ながら視察を行った。また、それぞれの災害を今後の減災活動に活かしていくため、気仙沼市内の学童保育クラブにて、熊本・東北・関東の職員による懇談を行った。

1.「元市役所危機管理担当職員による気仙沼市内の視察」

元気仙沼市役所の危機管理担当職員の斎藤健一様に同行いただき、実際に大津波が襲来した沿岸部を歩きながら、当時の様子や被害状況をお話いただきました。当時、気仙沼市役所の想定では、津波が発生して避難する時間を十分に確保でき、死傷者は限りなく0名に近い形で避難できると考えられていたそうです。しかしながら予想をはるかに上回る大津波の襲来により、甚大な被害を出してしまったという現実は深く受け止め、3.11以降、次世代への課題として地域とともに見直し取り組んできたとのことです。

復興に先駆けまず取り組んだのが漁港の再編。経済の7~8割を水産関連業が占めているため、魚市場・水産加工施設・冷蔵冷凍施設・漁船・養殖施設など、地域経済と雇用を支える水産関連業の早期復旧・復興に取り組んだそうです。美しい海岸線が広がる景勝地「岩井崎」での視察においても、予想に反した津波の流れにより、多方面から同時に津波が押し寄せ甚大な被害が出てしまったという事でした。

熊本から参加した福祉施設の職員からは、想像を絶する被害状況・津波の高さに、子どもや高齢者を預かる施設における、災害時の瞬時の判断の難しさが話されておりました。

2.「東北・熊本・関東の福祉施設職員の懇談」

熊本県で主に学童保育事業を実施する「NPOこどもサポート・みんなのおうち」や関東圏の保育系の参加者、気仙沼でNPO法人が運営する学童保育クラブの職員が一同に会して、東北・熊本・関東それぞれの震災発生時の状況や災害対策の取り組みなどを話しました。

【気仙沼の学童保育クラブの東日本大震災発生時の状況】

気仙沼の学童保育クラブは、職員の佐々木様からお話をお伺いいたしました。震災時、保育室には1,2年生合わせて10名弱と指導員1名がおり、長机の下や床に伏せ安全姿勢を取りましたが、体勢を維持するのも難しい状況だったとのことです。学校との連携によりすぐに学校の本校舎へ避難。津波の影響で一階の天井まで浸水し、地域住民や、児童、教職員、保護者、近隣の保育児童等を合わせ600人近くの方々が一夜を過ごしたそうです。プロパンガスが漏れて爆発しないか不安を感じながら、外の絶望的な光景を子どもに見せないよう大人が窓側へ座り、カーテンを毛布代わりに一夜を過ごしたそうです。当時の話は尽きませんでしたが、振り返ると様々な課題があったとお話をされておりました。その課題を一つ一つ検証し、より安全で安心できる場つくりとして今もなお取り組んでいるそうです。

【熊本の学童保育クラブの熊本地震発生時の状況】

熊本の「NPOこどもサポート・みんなのおうち」では、事務所や一部の学童保育クラブの保育室が被害を受け、一定期間は仮の場所を借りて保育を行っていたとのことですが、何よりも一番危惧されたのは、2度にわたる大規模な地震と、頻発する大きな余震から、子ども達の心に刻まれた恐怖心であるというお話でした。こどもサポート・みんなのおうちでは、各種イベントや保育面での工夫など、こどもたちのメンタルヘルスに配慮した取り組みを行ってきたとのことですが、保育人材の不足してる上に、忘れた頃にまた大きな余震が時々くるので、正直もう勘弁してほしいというような状況だったとのことです。特に朝から開所する夏休みは、学童の最も忙しい時期にあたりますが、熊本地震発生の年は、人員不足が非常に深刻で、困っていたところに小さな一歩の皆さまと出会いがあり、保育士の派遣事業を通じて支えていただきました。被災地域では子どもたちや保護者だけでなく、職員も同様に被災するケースも多いことから、人材面の深刻さは計り知れません。

【全体を通して】

東北・熊本いずれの災害においても、最も懸念されるのは、子どもたちの心的ストレスであり、それに対する保育者の関わりや保護者を含めたサポートが非常に大切であるとのことでした。また、時として予想をはるかに上回る被害を引き起こす大災害に対しては、これまで実施してきたような訓練だけでなく、瞬時の判断を養う訓練や、広域的な連携を含むネットワークの構築、予測される災害ごとの具体的な避難方法など、より一層対策を深めていく必要があるということでした。子どもたちの心からなかなか癒えることのない、災害のショック・ストレス。未来あるこどもたちに向き合い、心のケアとや復興活動を継続し、安心して生活できる社会創りを目指していくことを、改めて感じた交流会でした。

■参加者:15名

【熊本5名】

①NPO子どもサポート・みんなのおうち(熊本県大津町)3名

→理事長 江口様・事務局長 秋岡様・指導員 笠野様

②一般社団法人ウェルビー デイサービスくらら(熊本県益城町)2名

→代表取締役 山本様・統括部長 三浦様

【東北2名】

→元仙台市内 児童デイサービス管理者S様

【関東8名】

→柳井様・前原様・鈴木様・会田様・田村様・渡部様・福島様・宮園様


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