top of page

12/4-5 九州北部豪雨『現地視察報告』

【活動概要】

■日 程: 平成29年12月3日(日)~12月4日(月)

■場 所: 「 九州北部豪雨被災地域 」

■内 容:

『福岡県朝倉市水害発生現場における現地調査』

■活動報告

1.『福岡県朝倉市水害発生現場における現地調査』

1)被害の概要

2017年7月5日~6日にかけて、台風3号および停滞した梅雨前線などの影響により、福岡県朝倉市や大分県日田市などにおいて、24時間降水量の値が観測史上1位の値を更新するほどの豪雨となり、福岡・大分の両県では、40名近い死者と多数の行方不明者、更に家屋の全半壊や農地などへの多量の土砂流入など、甚大な被害が発生。

朝倉市は、平成18年に、甘木市、朝倉町、杷木町の合併により市となった。合併当時の高齢化率は約25%、人口は6万人程だったが、現在は高齢化率が32%を超え、人口も約1割りにあたる5千人の減少となり、過疎化が急速に進んでいる地域といなっている。

【↑約半年が経過しても当時のままの朝倉市内の学校】

2)被災し、避難所で生活を続ける「Aさん」への聞き取り 

 今回は、九州北部豪雨の発生に伴い、9月に災害義援金の拠出をさせていただきました、福岡県朝倉市の現場に足を運ばせていただき、市役所や災害ボランティアセンターに足を運んだほか、溜め池の堤が決壊し、奈良ヶ谷川沿いに甚大な被害が発生した『山田地区』において、柿農家を営むAさんにご協力をいただき現場での聞き取りや、被災した地域の案内をしていただきました。Aさんの自宅では、裏山が崩れたことで大量の瓦礫が家の中に入り込んでしまったままになっており、今なお、避難所で避難生活を続けておられます。

■水害当日

 7月5日の深夜、普段は水量も少なく、とても穏やかな清流が流れる奈良ヶ谷川の中流部において、「ゴ―――!!」っという、轟音とともに、濁流や土砂崩れによってなぎ倒された樹木などが集落や柿畑をめがけて一気に押し寄せ、あっという間に多くの家屋が流されてしまった。とにかく生きた心地がしなく、命からがら何とか逃げ延びた、長年住んでいるが、こんなことは今まで一度も起きたことがないし、想像すらしていなかった。本当に怖かった」と語ってくれたAさん。ご自宅を訪れると1階のお勝手から大量の土砂が壁を突き破って流れ込み、当時のままの状態であった。「先が見えないし、柿畑のための機械などもみな、土石流で流されてしまった。ボランティアさんは来てくれた時もあったが、大切な柿の木を痛めてしまう可能性もあり、農業のことがわからないボランティアさんには、現実的になかなか仕事をお願いすることはできなかった」という。

【↑被災した地域を案内して下さったAさん】

■半年が経過したいま、、、

 約半年が経過した今もなお、避難所での生活を続けるAさん、年齢的に新たな借金をして事業を立て直すのは非常に困難、と胸中を語ってくれた。また、過疎化した地域であったため避難所での生活においても、高齢者の割合が非常に高く、慣れない環境でのトイレやお風呂、食事などは難しい現実もあり、普通の生活を送ることすら難しいという現実に直面したという。豪雨の被害が発生した場所では、瓦礫類の撤去などを行うボランティアは、集まっていたようであるが、高齢者などの避難所生活における、ちょっとした困りごとが多くあり、そこへの支援はあるようで以外とない一面もあることを感じたという。

 もちろん、知らない人のお世話になることについては、Aさん自身抵抗はあるとおっしゃっていたものの、援護を要する方の、災害が発生時の生活は現実として厳しいものがあり、通常の生活を継続できる環境的な配慮や支援の在り方について、今一度社会全体で考えていく必要があるものと考える。

 半年が経過した朝倉地域、被害は想像以上に広範囲かつ大きなものでした。流木などの大きな瓦礫類は、一定程度処理が進んでおりましたが、場所によっては瓦礫の搬出場所が確保できないなどの理由により、いまだに当時のまま手がつけられていない状況でした。また流れてきた土砂が、主力産業の水田や、柿畑などに大量に流れ込み、収入源となる産業も大きな被害を受けていることが、復旧の見通しが立てられない一つの要因となっている状況でした。Aさんの「柿の木を痛めてしまいそうで、農業の知識がない人にはなかなか任せられない」という言葉をお聞きし、改めて支援の在り方を考えさせられました。

■最後に、そして今後、、、 

 当法人としましては、あくまでも高齢者や乳幼児、障がい者など「援護を要する方々」が、災害時にも、“生きるために必要な支援”が途切れることなく、必要なケアを受けながら少しでも安心して生活できるような社会を目指していくことを再認識しました。災害時、ヘルパーさんが被災したことで、おむつ交換がしてもらえず、ジョクソウになってしまったり、食事が食べられないなどの現実にこれまで多く直面してきました。福祉・介護業界のみならず、日本社会全体が、厳しい人材難に直面している現在、援護を必要とする方々は、災害発生時に生きていくうえで非常に困難な状況に直面してしまう可能性があります。このことは、いつ、誰にでも起こりうることです。自分自身ではなくとも、身近な人が直面するかもしれません。災害大国であり、超高齢社会となっている日本社会の抱えるこの困難な課題に対し、小さな気持ち・小さな行動を大切にしながら、一人でも多くの人が助け合いの手を繋いでいってくれる、、、、そんな社会を目指してゆけたらと思っています。

 ご支援・ご協力いただいている皆様、誠にありがとうございます。

以上

「Aさんによる水害現場の案内」          「瓦礫が流れ込んだままの柿畑」


特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
まだタグはありません。
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page