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12/2 熊本地震支援活動完了報告書の提出【日本財団】

 5月の助成の決定を受け、6月18日以降の活動について活用させていただいていた、日本財団の「熊本地震支援活動助成金」の完了報告書を本日郵送にて提出いたしました。助成をいただきました日本財団様、またご寄付をいただいている多くの皆さま、どうもありがとうございました。

助成事業の報告概要は以下の通りです。

報告日:2016年 12月 2日

事業名:平成28年熊本地震における支援事業

申請受付番号:143

団体名:特定非営利活動法人小さな一歩

代表者名:理事長 宮園 崇弘

事業完了日: 2016年12月2日 

※活動終了日11/19、支払い完了日12/2(報告書印刷)

助成金額  850,000 円 (事業実施のために使った助成金の総額)                                       

■事業内容: 支援物資・医療介護支援・子供支援・心と体の健康(体操・マッサージ・入浴など) :生活の質の向上に寄与

 益城町など被害が大きい地域では、社会福祉施設が多数被災。近隣の施設で緊急的に被災した施設の利用者を受け入れている状況となっていた。母体が比較的小規模な一般社団法人やNPO法人などでは、人員面での内部での補充や、広域的なネットワークでの支援が受けにくい状況があり、職員の被災等も重なり厳しい状況となっていた。

 長引く余震により、利用者及び利用者の生活を支える職員のストレスも増大している状況で、専門職員(介護支援専門員・介護福祉士・精神保健福祉士・社会福祉士・保育士等)を派遣することで、職員の負担を軽減しながら、利用者の心身の安定を図るような取り組みを行った。支援にあたっては、利用者及び職員からヒアリングを行い、ニーズ調整を行った上で実施。避難生活などによる活動量低下に対応した健康支援プログラムの実施を行ったほか、震災により文化的な活動等も実施が難しい状況が続いていることに配慮し、当初の計画にも掲げた「書道」や「音楽」などの文化に触れあう企画を実施。実施にあたっては多世代間の交流による心身の活性化を視野に、中学生や高校生などとも連携した取り組みを行った。また、地震発生から2か月程度が経過した頃から、利用者だけでなく、利用者を支える職員等から、心身の疲労、長引く余震によるストレスからくる、全身のコリなどの訴えがきかれ、マッサージを行う専門職などを派遣することで、心身の健康と生活の質を高められるような活動を展開させていただいた。

 学童保育クラブにおいては、朝から保育を提供する夏季休暇期間の繁忙期に、職員の被災等により保育人材が大幅に不足したため、被災地域の学童保育クラブへの保育士有資格者の夏休み期間を通じた派遣活動を実施した。夏休み期間はフライトの金額が大幅にあがることから、マンスリーマンションを借上げ、20日間程度の長期で保育士を滞在させることで、交通にかける費用をおさえたほか、連続した期間じっくり子どもや職員と関わることで、現場の安定や子どもの保育環境向上に取り組んだ。

 地震発生から約半年となる9月には、当法人の顧問の大学教員(社会福祉学)とともに、益城町の高齢者施設のヒアリングを実施させていただき、活動の振り返りを行った。

■事業評価:        

1.事業目標の達成状況: 

【事業活動目標】

・延べ150名の熊本地方への災害ボランティア派遣

【目標の達成状況】

・最終的に105名、達成率70%のボランティア派遣に留まった。

 しかし助成金金額85万円に対する本活動のコスト妥当性に検証した結果、①主に有資格者の派遣であること、②活動費用の一人当たり単価/日は7,686円(交通費・宿泊費・レンタカー費用・燃料費)とかなり低めの金額に抑えて活動を実施でき費用対効果は高かったこと、③復興過程の移りゆくニーズに対応して、様々な職種の専門職を必要な時に偏りなく派遣できたこと、などにより費用に対して効果を高めつつ、安全かつ効果的に有資格者の派遣を実施できたと考える。

2.事業実施によって得られた成果:

高齢者:

 甚大な被害が発生した益城町で一般社団法人が運営するデイサービスに、介護現場での経験が豊富な介護福祉士や介護職員初任者研修修了者などを派遣し、職員の業務負担の軽減と、利用者の生活の質の向上に寄与することができた。また社会福祉士や介護支援専門員が入り、震災後の利用者の声を聞いたり、ニーズの把握に努め、活動内容に反映することができた。

 6月頃からは、ストレスケアや蓄積してきた疲労に対応したプログラムが求められ、看護師同行のうえでマッサージなどの資格保有者によるストレスケア活動を展開し、利用者の生活の質の向上に寄与することができた。夏以降については人員もある程度充足してきたものの、例年実施している夏祭りの実施に際して、同じ九州の高校生と連携して支援活動を実施、無事にお祭りを開催することができた。学生との交流では利用者から笑顔や拍手がたくさんあがり、世代間交流により心身の健康と生活の質の向上に寄与することができたと考える。

 施設も徐々に落ち着きを取り戻しつつあったため、地震発生から約半年の9月に、活動の振り返りと地震発生当時の状況等についてヒアリングを実施、当法人顧問で八戸学院大学講師が同行し、幅広い視点で議論を行った。復旧過程において求められる、創作活動や書道などの文化活動を行う際にも、要介護状態の方々が安心して参加することができるよう、介護福祉士や介護支援専門員等が常時コーディネートし、利用者の日常生活動作や転倒リスク等にも配慮して取り組むことができた。多くの医療福祉系有資格者やマッサージ系の資格保有者にも連携していただくことができ、幅広い支援活動の実施と、復旧過程に応じた支援を行うことができ、高齢者の生活の質の向上と、泊りがけで利用者を支えてきた職員の業務負担軽減に寄与することができたと考える。

子ども:

 園舎が被災し、職員も被災するなどして保育人材の不足が深刻化していた学童保育クラブに対して、繁忙期である8月の夏休み期間を通じた保育士有資格者派遣事業の実施することで、子どもたちの心身の安定と、職員の業務負担軽減に寄与することができた。保育士は全国的に不足している職種である上に、法人母体がNPO法人というイメージから、募集をかけても職員がなかなか集まらず、夏を前に人的に危機的な状況となっていた。6月に事前に現地に足を運び、どのような保育人材がどの程度の期間必要かなどの、打ち合わせを行い、保育経験が豊富で災害ボランティア経験も豊富な保育士を派遣することとなった。完全自己完結とすること、夏季のフライト代高騰(LCCで通常の3倍~4倍)に対応することなどから、マンスリーマンションを借り上げて、一定期間住みこむことで、交通費にかかる費用を最大限おさえ、費用対効果を高めながら支援活動を実施することができたと考える。派遣した保育士は、経験が約10年~20年のベテランであることから、保育技術にも優れ、子どもの余震ストレスなどにも配慮した丁寧な関わりで保育を実施することができ、職員の業務負担軽減と、子どもたちのQOL向上に寄与することができたと考える。

 助成事業ではないが、10月には今回支援を行った熊本の学童の職員が、派遣事業に参加した東京の保育士が勤務する児童施設を見学に訪れ、東京・熊本の保育士が保育について議論する場を設定するなど、今回の活動を通じた有効な繋がりが構築できたことも、大きな成果であると考える。

 以上のことから、高齢者と子ども双方のQOLの向上と、要援護者を支える職員の負担軽減に寄与することができたことが、本活動を通じた最も大きな成果であったと考える。

3.成功したこととその要因

◎福祉系有資格者の派遣によるQOLの向上と職員負担軽減

(要因1)当法人は設立間もない状況ではあったものの、任意団体としての東日本大震災復旧支援活動での繋がりにより、多くの有資格者の方々が協力してくれた。

(要因2)熊本⇔東京間は移動にかかる費用が大きかったが、日本財団様の助成を受けることができたことにより、多くの専門職が支援活動に参加しやすい資金面での基盤を整えられた。

(要因3)夏のフライト代高騰時期に、マンスリーマンションを借り上げて一定期間住みこみで有資格者を派遣することで、洗濯や食事など自己完結した上、費用をおさえた取り組みができた。

(要因4)東日本大震災から常総市の水害支援など、これまで活動をともにし、災害ボランティアについての知識と技術を共有してきたメンバーが数多く参加したことで、安全かつモラルをもった取り組みができた。

(要因5)派遣先法人が外部の受け入れについて大変理解がある法人であったこと。電子メールや電話等で、施設担当者と当法人担当者が連絡を取り合い、企画書等を通じて情報を共有し合えたこと。

◎他職種連携

(要因1)災害ボランティアの経験が豊富な、社会福祉士や精神保健福祉士等のソーシャルワーカーがコーディネートすることで、様々な職種のボランティアが参加しやすい環境を整備できた。

(要因2)復旧過程ごとの現地のニーズを確認のうえで、必要な技術を保有した専門職を派遣することができたこと。

◎安全に配慮した活動の実施

(要因1)参加ボランティア全員について、全社協のボランティア活動保険に加入。予見できない余震による怪我等や、感染症などにも対応した保険であり、安全面に配慮した活動を実施できた。

4.失敗したこととその要因

◎迅速な情報発信

(要因1)設立間もないことで、地震発生時点でホームページなどのWeb媒体が確立されていなかった。多くの協力を要請する中で、急ピッチで整備したが、リアルタイムでの情報の更新や発信ができなかった。

⇒今後について、誰でも簡単に記事等を投稿できる「Webページリニューアル」の実施中。また、より迅速な情報の拡散・共有を目的に法人のSNS開設を検討中。

5.事業成果物:

「熊本地震支援活動報告書」 500部印刷          

「熊本地震支援活動参加者感想」 必要に応じて印刷


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